大工の棟梁の仕事を通じて学ぶプロジェクトマネジメント新書本

自分の小説に大工さんを出したいな。
いやでも大工さんって言っても、どんな人が、どうやって、どのような仕事をしているのかさっぱり分からん。
何も分からなかったのでとりあえず図書館へ行きまして「大工」と書かれている本を探してみました。
そこで見つけたのが『大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント(著:白鳥美子)』です。
どちらかというとビジネス書の内容でした。
大工とは、というお話はメインではないものの、大工やその職の人たちの仕事の流れ、人間関係などが書かれているので興味深かったです。
本書を読む目的
「棟梁のリーダーとしての仕事の回し方は、一般的なプロジェクトマネジメントにも適用できるのでは!?」との発想のもとに書かれた新書です。
大工の仕事内容よりも、その仕事に対する考え方をまとめています。
「大人のための読書の全技術(齋藤孝著)」の教えに従い、読む前に目的を考えてみます。

私がこの本を読む目的はこちら。
- 大工はどのような仕事をしているのか
- どのような人が大工になるのか(大工になる人にはどのような性格の人がいるのだろう)
- どのようにして大工になるのだろう
こういったことが知りたくて借りてみた本なのですが、手を出す本の方向を間違えたかもしれません。
ビジネス書のような雰囲気がある、なんて思いながらページをめくっていましたが、よく考えたらそもそもこの本はビジネス書のコーナーにありました。
では、私と同じような目的でこの本を読む人は少ないような気もするのですが、小説の資料にすることを想定して、本書の紹介をします。
本書を読むのにおすすめの人とそうでない人
- 大工は古い考えの持ち主ばかりだ、と思っている人
- 理想のリーダー像に悩んでいる人
- ざっくりとした大工の仕事を知りたい人
- 小説のサブキャラに大工を書きたい人
- 大工の仕事内容を詳細に知りたい人
- 大工になる方法を知りたい人
- 大工が主人公の小説を書きたい人
思わぬ収穫だったのですが、小説のキャラクターの輪郭を考えていく上で、知っておくと良さそうなことも学ぶことができました。
「大工」という職の内容について深くは語られていませんが、概要を知ることはできます。
大工を主人公として書こうとしたらさらなる資料を探す必要がありますが、サブキャラとして導入するのであれば本書の知識も充分活かせそうに思われました。
本書から学べること
本書の冒頭に、以下のような一文がありました。
大工の棟梁と言えば、
「腕一本で生きてきたことを誇りに持つ、ちょっとアタマの古い人」
「昔ながらの世界、いわゆる師弟制度の中でのトップだから、チームづくりなんてことを考えたこともないだろう」
と、考えている方も多いでしょう。
私もそのように考えていました。
ですが、著者はそれを否定しています。
著者は、「棟梁が培った考え方や姿勢は今のビジネス理論にも通じるものがある」と信じて書きました。
本書によると、家づくりの現場では、毎回同じ職人だけで仕事をするのではないそうです。
日によって作業メンバーが入れ替わり立ち替わりします。
ビジネスで組まれるプロジェクトメンバーも、短期的に集まるものです。
短期のメンバーをまとめて一つの仕事を完遂させる点ではどちらも共通しています。
このため、本書は「プロジェクトマネジメントを学びたい人」を対象に書かれていました。
棟梁の言葉があり、それを受けて「では、今のビジネスではこうやればいいのでは?」と置き換えられています。
小説の資料という観点で読んでみると、この置き換えはビジネス以外でも使えます。
現実世界の大工を書くときはもちろん、ファンタジー世界での大工などの職人を書くときにも応用できそうです。
また大工に限らず、リーダーを書くときの参考になります。
本書から小説の資料用に学べる点
小説の資料という観点でこの本から学べたのは以下の点です。
- 家づくりの仕事の大まかな流れ
- 大工に多い性格
- いいリーダーと悪いリーダーの例
- 大工(棟梁)になる人の簡単な経歴
家づくりの仕事の大まかな流れ
本書では、具体的な家づくりの流れは書かれていません。
- プロジェクトの始まり(家を建てたい人がくる)
- プランづくり(建てたい家・予算・期間を決める)
- 着工(家づくりを始める)
- 完成、および引き渡し(完成した家を引き渡す)
- アフターサービス(引き渡し後も一定期間責任を負う)
このくらいのざっくりした説明です。
(実際にはもう少し細かく書かれています)
「この過程ではこういうことを決めて、こういうことをして」という細かい仕事を参考にしたいときは、違う本を参考にした方が良さそうです。
大工の具体的な仕事内容を知るには不向きですが、作業メンバーの人間関係を知るつもりで読むと勉強になる点が多いです。
大工に多い性格
棟梁によると、職人にはやはり無口な人が多いそう。
ですが、全員が全員無口なのではなく、中には作業中とにかく喋る人もいるのだそうです。
無口な人に関しても、酒の席では口数が増えることも多いので、棟梁はこういう機会を使ってそういったメンバーの話をとことん聞くとのことでした。
喋らない人の言葉を引き出し、仕事を上手く回すのが棟梁の大事な仕事の一つのようです。
棟梁(リーダー)の仕事の大変さがうかがえます。
いいリーダーと悪いリーダーの例
プロジェクトマネジメントをテーマとして書かれているので、リーダーとしてのあるべき姿について幾度となく触れられていました。
まず、著者が「こういう問題が起きたらどうするのだろう」と提起して、それに対して棟梁が答えます。
そこから、「ビジネスシーンならリーダーとしてこういう行動をとるといい」と進行してきいきました。
その中で、対比する形で悪いリーダーの例も書かれています。
小説を書く上では、この悪いリーダーの例の情報も役立ちます。
登場する人物がみんないいリーダーでは味気ないですからね。
「こういうことをするリーダーはメンバーからの信頼を失う」といった形で書かれていますが、ダメダメ上司を書くときの参考になりそうです。
大工(棟梁)になる人の簡単な経歴
巻末に、執筆にあたって取材協力してくれた棟梁たちの簡単な経歴が載せられていました。
- どうして大工になったのか
- 大工として、現在はどういう仕事をしているのか
これらのことが書かれています。
どんな人がどうやって大工になるのか、全く見当がつかないときに参考になりました。
棟梁の年齢も関係しているかもしれませんが、家業を継ぐために大工になるケースが多いようです。
いまの若い人たちだと、もう少し理由が違うかもしれませんね。
最後に
結論として、読む前に考えていた目的はほとんど果たすことができる本でした。
- 大工はどのような仕事をしているのか→ざっくり分かった
- どのような人が大工になるのか(大工になる人にはどのような性格の人がいるのだろう)→ざっくり分かった
- どのようにして大工になるのだろう→ざっくり分かった
どれもざっくりとした理解しかできなかったので、詳しい情報を得るには別の資料が必要そうです。
ですが、「リーダーとしてのあるべき姿」や「大工の仕事現場の様子」、「職人の性格」を知るにはかなりいい本でした。
現場にいる棟梁たちからの何気ない声をまとめているので、よりリアリティを感じます。
大工を主人公に書きたいときはもっと細かい情報が必要ですが、サブキャラとして書くときは本書を読んで、棟梁たち職人を想像するだけでも十分そうです。





