「メモの魔力(著:前田祐二)」という本を読んでみました。
要するに
「とにかくメモしよ!」
「見たこと聞いたこと、ぜーんぶメモしよう!!」
ということが書かれている本です。
仕事を意識して書かれた本ですが、創作ノート作りにも活かせそうなことが書かれていました。
今回は「メモの魔力」の紹介をします。
「メモの魔力」とは?
本書は「メモを取ること」を推奨しています。
「メモ」といっても、本書の指す「メモ」は単なる覚え書きのメモとは少し違います。
仕事の手順や買い物リストといった、覚えなければならないことを書き留めるよりも、一見すると何でもないような日常のことでも書いていこう、というスタイルでした。
「メモの魔力」の著者はどんな人?
本書の著者、前田祐二氏は「メモ魔」なのだそうです。
序章では、著者が普段取っているメモについて語られています。
とにかく量が多い!
「メモをとる」という言葉から想像される100倍くらいの量のメモを取っている気がします。
映画や演劇などを観ていても、気づいたことを相当な分量メモします。おそらく、一つの作品につき、多いときで100個以上、少なくとも数十個のポイントはメモしていると思います。
「メモの魔力(前田祐二)」p.4より引用
シンプルに多い
「メモの魔力」の「メモ」は単なる備忘録ではない
本書の著者は「メモ」の考え方に特徴があります。
著者の「メモ」は「記録のためのメモ」ではなく、「知的生産のためのメモ」だと述べていました。
「記録のためのメモ」の例として、買い物メモが挙げられています。
これを単純な、「記録のためのメモ」とし、「ロボットでもできる」としていました。
著者の述べる「知的生産のためのメモ」は人間にしかできないことに集中するために活用するものだそうです。
本書の「メモ」のやり方として、見たこと聞いたことを書き、そこから気づきを得て、最終的には自分の目標達成に役立てる、というような流れが示されていました。
だからこそ、アイディアの素となる「事実」をたくさん書きためることが重要だと言えます。
ですが、「じゃあ細かいことも全部なんでもメモをしよ!」と思っても、いきなりできることでもありません。
大事なのは「ノウハウ」じゃなくて「メモを取る姿勢」
本書ではノートの作り方やメモの取り方を教えてくれます。
メモを取りやすくするためのコツのようなものです。
- ノートの作り方
- 取ったメモの重要度の分け方
ですが、本書において大切なのは「メモの取り方」ではありません。
著者は下記のように述べていました。
僕は、この本を通じて「ノウハウ」を伝えたいわけでは断じてありません。
「メモの魔力(前田祐二)」p.39より引用
「このやり方でメモを取ればこうなる!」という話じゃないんですよね
多くの情報をキャッチすることの重要さを教えてくれます。
「メモの魔力」で役立つ創作術
本書はビジネスの現場を意識して書かれています。
創作に使えそうだと感じたところがあったのでお話しします。
ノートの作り方です。
「メモの魔力」が紹介しているノートは、ノートの書き方というか、使い方が独特なんです。
ノートを見開きで使う
ノートの真っ白なページを開いたとします。
大抵、横書きのノートは左から順に埋めていきます。
多くの人は左側のページが埋まったら、右ページの右上から続きを書いていく流れを取るかと思われます。
ですがこの「メモの魔力」では、右側のページにそのまま書いていきません。
ページをめくって、左側のページだけにひたすら見聞きした事実を書いていきます。
右側だけ空くじゃん!
はじめに読んだときはそう思いました。
右側も書くには書くんです。
右側に書くのは「見聞きした事実」ではありません。
- 「見聞きした事実」を受けて気づいたこと
- 事実を受けての気づきを何に活かすか
というアイディアを書いていきます。
つまり「メモの魔力」流のノート術では、
- 左側に事実だけ
- 右側に創造性のあること(発想)だけ
を書いていくのです。
この辺りの書き方は本文に説明があるので、詳しい書き方は本をご覧いただけると有り難いです
右側が創作の種になる
ノートを見開きで使って、見聞きしたことを左側だけに書き連ねて、右側には自分で考えたことを書いていく。
……となると、右側だけがスカスカに空きまくったノートができあがりそうです。
これについて著者は下記のように述べていました。
ノートを眺めていて右側が空いていることが気になり始めたら、それは良い兆候です。
「メモの魔力(前田祐二)」p.40より引用
- 右側(自分で考えたことを書くスペース)が空いていることが気になる
- 埋めたくなる
- 気づいたことやアイディアを書く習慣がついてくる
ということなのかな?
本などの資料を調べて得た情報を「事実」として左側に書きまくっていけば、それをどのようにして創作に活かすかを考えるネタが右側に自然に集まってきそうです。
調べ物がただの事実確認だけで終わらず、新たな創作のネタにも繋がりそうな気がしてきました。
これ、やってみよ
興味深かったこと
創作とは別の視点ではありますが、興味深く感じたことがあったのでお話しします。
倒すべき魔王を決める
第三章は、「メモで自分を知る」です。どんなにメモを駆使して、アイデアを生み出したり、すごい思考法を身につけたりしても「何をしたいのか」が明確でなければ、それは無用の長物になってしまいます。倒したい魔王がいないのに伝説の剣を手に入れたようなものです。まずは、倒すべき魔王を定義しましょう。
「メモの魔力(前田祐二)」p.12より引用
「倒したい魔王がいないのに伝説の剣を手に入れたようなものです」の部分が興味深かったです。
なるほど
目的がなければどれだけたくさんのメモを取っても活用できないってことね
倒すべき魔王(目的)が決まっていたら、集める情報や転用するアイディアの方針もはっきりしやすくなるのかもしれない、と感じました。
「標語」
他にも「標語」についての話も興味深いものがありました。
「標語」は、本書では「キャッチコピー」とも言われています。
ですが「標語」の使用方法を見てみると、「キーワード」の方が近いように感じてなりませんでした。
本書における「標語」は、「『朝5時半の女』は秀逸な事例(p.69)」にてわかりやすく説明されています。
こちらを読んで、
だから「キャッチコピー」なのね
と納得できました。
メモを取るときに「標語(キャッチコピー)」を合わせて書いていくようにすると、情報を一言で表す能力が上がっていく、というような話です。
小説におけるタイトルを決めるときやあらすじを書くときにも求められる能力であるように感じました。
「標語」を考える練習をしていったら、タイトルを決めるときの苦労も減るかも
おわりに
- 「メモの魔力」の「メモ」は単なる備忘録ではない
- 思考のための「メモ」
- 大切なのはメモを取り続ける姿勢
- 創作に活かせること
- ノートを見開きで使う
- メモした事実に自分のアイディアを併記する
「情報はこまめにメモをする」
この大切さは今までも何となく感じたことがありました。
本をさーっと読むだけではほとんど頭に内容が残らないのですが、気づいたことを手元の紙やノートに書いておくと記憶に残りやすいです。
ココナラのご依頼で作品を拝読するときも、だいたい1~2文を読むごとにメモを書いています
「ノートを見開きで使う」ことは、今まで考えてもみなかったことだったのでとても斬新に映りました。
この記事では「ノートの左側に事実、右側に創造したこと(自分で考えたこと)を書く」というざっくりした表現をしています。
そうはいっても、「事実を受けて、いきなりアイディアを書く」なんていうのは無理難題だと思います。
本書ではアイディアに変える前にもう一つのステップが挟まれていました。
それが「抽象化」です。
「抽象化」と初めに言われたとき、
「抽象化」ってなに!?
抽象化っていう言葉自体が抽象的過ぎる
……と思いました。
しっかりと本書を読んでみますと、この「抽象化」が本書における重要なキーワードであることがわかります。
ここは本を読んでみてほしいです
具体例を交えつつわかりやすく説明されています
「抽象化」についての説明を読んで、創作ノートに使えそう、と感じました。
また、膨大なメモ(情報)を書いたノートも、「情報は1冊のノートにまとめなさい(奥野 宣之)」で書かれていた、検索性の高め方と併用したらさらに活用しやすくなりそうです。
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