「モブどれ」にハマってすごく好きになったので好きになった理由を真剣に考えてみる

「モブどれ」こと「モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う(著:岡崎マサムネ)」にハマりました。
モブどれについてはこれまでに記事でも書いています。
「モブどれってなに?」というお話は下記の記事をご参照いただけますと幸いです。
さて今回は、ものすごく「モブどれ」を好きになったので、その勢いで「私はどうしてこの作品のことが好きなのか」を真剣に考えてみます。

自分の「好き」の根っこが分かったら、今後の創作にも活かせるかなと思いまして
「わかる」がいっぱい
このお話、共感できるというか、「あー、これわかるなぁ」と思えるところがたくさんあります。
- ピーマンは刻まれていようが隠れていようが苦手な人間にとっては「ピーマン」でしかない
- 筋トレは、前はできなかったことができるようになるのが楽しい
- 化粧とボディメイクと振る舞いで「イケメン」は作れる
- ただ顔が良いだけではモブから脱せない
ピーマンは苦手な人にとっては何をしても「ピーマン」
「モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う」(以下、岡崎マサムネ先生が使用されている略称である「モブどれ」を使用して表記します)の主人公であるエリザベス・バートンは、ピーマンを食べたショックで前世を思い出します。
オムレツに、刻まれたピーマンが入っていたのです。
ショックでぶっ倒れたときのエリザベスは地の文で、下記のように述べていました。
どんなに小さく刻もうが、何かに混ぜようが、味付けを工夫しようが分かってしまうのだ、何故なら苦手なので。
こちらを読んだときに「わかる」と頷いてしまいました。
……と言っても、私自身は苦手な野菜はほとんどありません。

いつか出会うのかもしれませんが、これまでの人生で出会った野菜の中で「食べられない」と感じるほど苦手なものはありませんでした
このため、「刻んであったり混ぜてあったりしても苦手な野菜は判別できる」という経験は私自身にはありません。
あったのは私の子どもです。

細かく切ってハンバーグに練り込んだのに、ピーマン入りだと気づいてからは食べてくれなくなりました

すんごくちっちゃく刻んだのに!
私が気にせず食べてしまう性質だったので、細かいピーマンにも気づいてしまう我が子が不思議でした。
あんなに小さく切ったのにどうしてわかるんだろうと思っていたんですが、なるほど、苦手だと小さくてもわかるものなのですね、と納得した次第です。
筋トレは日々の成果が見えて楽しい
「モブどれ」を読む少し前から、筋トレが気になり始めていました。
筋トレが題材になっている漫画としては「ダンベル何キロ持てる?(原作:サンドロビッチ・ヤバ子 作画:MAAM)」と「筋ト令嬢クーラ様~悪役令嬢に恋する暇なし!~(樹生ナト)」です。
他にも、「ふつつかな悪女ではございますが(中村颯希)」で身体作りをする主人公を見たり、「俺だけレベルアップな件(原作・原案Chugong、作画DUBU(REDICE STUDIO))」でハードなメニューをこなさざるを得なくなった主人公を見たりしていたときにも「筋トレやろうかな……」と思うなどしています。

そんなきっかけがあったので、ちょっとだけ筋トレをしてみたんです。
そしたら続けていくうちに、前は全然できなかった腹筋運動が、日を追うごとにこなせる回数が少しずつ増えるようになってきました。

前は2,3回しかできなかったけど、今日は7回もできた

楽しい!
元の筋肉が弱すぎるせいもありますね。
それでも少しずつできることが増えるのが楽しかったんです。
では、「攻略対象の座を狙う」と決めたエリザベスがトレーニングを始めたときの言葉を見てみます。
まだ身体は子どもなので負荷をかけた筋トレは出来ないが、自重トレーニングをしたり、素振りをしたり、反復横跳びをしたり、走ったり受け身を取ったり。昨日まで出来なかったことが出来るようになるのが面白く、また驚くほど身体がよく動くのが楽しかった。
また、自重トレーニングのことや、子どもはまだ負荷をかけたトレーニングはしない方がいいらしいことなど、筋トレを始めるとき調べて目にしたようなことも書かれています。
これらのことにも、うんうんと頷きながら読んでいました。
自作の「イケメン」
エリザベス・バートンは努力の甲斐あって、学園入学時点でかなりの「イケメン」になっていました。
紹介記事でもお話ししましたようにエリザベスは、素からある程度良かったとは思いますが、はじめから爆モテのイケメンの顔を持って生まれたのではありません。
ボディメイクと化粧や振る舞いの研究などによりイケメンを「作った」のです。
イケメンは作れる。
元はあっさり系の塩顔だというエリザベス。
だが薄い分には足せばよい。
足りないないなら足せば良い。
なんだか私も作れそうな気がしてきます。

根拠もなく湧き出る自信
読んでいるだけで元気になってきました。
モブではないキャラクターに必要なもの
エリザベスはただのイケメンになりたいのではありません。
攻略対象たちをしのぐほどのキャラクターになりたいのです。
トレーニングを重ねたり化粧の腕を磨いたり、少女小説等を参考に女性に優しくしたりすることで、エリザベスは順調にモテるようになってきました。

本人もかなり楽しんでやっています
しかしそれだけでは攻略対象の座は奪えません。
ちょっとイケメンで、ちょっと背が高くて、ちょっと礼儀をわきまえているだけの少年(女)だ。
身分と剣の腕は及第点だろうが、モブの枠を出ていない。自分で言うのも悲しいが、ぱっとしないのだ。
なるほど、と感じました。
ちょっと「良い」だけではモブから出ることはできない、という点が興味深かったです。
「モブの枠を出ていない」から「そのくらいなら他にもいる」とも言えます。
多数に埋没しないためには、何かの個性が突出している必要があるということです。
この後、エリザベスは「Royal LOVERS(モブどれ世界の原作に当たる、架空の乙女ゲーム)」の攻略対象たちにはない属性を手に入れることで、圧倒的な個性を魅せました。
強烈で、且つ「こういう攻略対象のいる乙女ゲーム、見たことあるー!」と思ってしまうキャラクターになったので、個性とキャラの印象の強さの関連性に説得力のある仕上がりとなっています。

冷静に考えると…てところにも突っ込みがある
共感できたり「なるほど」と思えたりするところがたくさんある本作。
ですが、よく考えてみると「これって…」と思うところもあります。
ここでは、「自分の幸せのためだけにヒロインに攻略されようとする方針」についてお話しします。
エリザベスは十年を費やして自分を磨き上げ、ヒロイン(リリア)に攻略されようと全力で挑みます。
ヒロインへの態度や言動も「これは惚れてしまうわ」と思ってしまうほどのものです。
ですが、エリザベスは本気でヒロインと恋人になるつもりはありません。
本気ではないのに本気であるように見せかけているのです。

これでもし、ヒロインが本気でエリザベスに惚れてしまったらどうするんだろう
こんな疑問が浮かびます。
エリザベスは自らの行いについて「最低だ」と述べていました。
最低であることを自覚しながらも、それが自分だと言い切っています。

潔い
この姿も、私がエリザベスを好きな理由の一つです。
格好良いだけじゃない
「モブどれ」の中で一番格好良い(と私が思っている)のは主人公のエリザベス・バートンです。
顔は良いし強いし、家族(主にお兄様)が大好きだし、何かあったらなんだかんだ言いながら助けに来てくれるしで、格好良いんです。
ですが彼女が持っているのは「良い」ところだけではありません。
令嬢としては突飛なことばかりをしているから家族内での発言権は植木の次くらいしかないですし、人に対してドライな一面も持っています。
また力で彼女にかなう人はいないのではと思われるほどに強い反面、勉強はあまり得意としていません。
プラスの面だけではなく、マイナスの面も合わせて持っているのです。
他にも、勉強を得意としている同級生は身体を動かすこと(剣術やダンス)を苦手としていたり、圧倒的な美貌と為政者としての能力を持つ王太子は面と向かってはっきりと気持ちを伝えないために意中の人に気づいてもらえなかったりといったものが見られました。
エリザベス自身が「ちょっとイケメンで、ちょっと背が高くて、ちょっと礼儀をわきまえているだけ」(本編より引用)ではモブの枠から出られないと言っていましたように、登場する色濃い面々はただ容姿がいいだけの人ではありませんでした。
サブキャラも濃い
「モブどれ」はサブキャラも濃いです。
出番があまりないのに記憶にはっきりと残っている人たちがいます。
「モブどれ」の紹介記事でも紹介した人たちです。

「モブどれ」の紹介記事でも書いた、お兄様や教官といった人たちは読んでからしばらく期間があいてもなお「こういう人達がいた」と覚えていました。
「モブどれ」関連でこの記事を含めて3記事も書いています。
そのくらいどハマりしていると言うことなんですが、初めて「モブどれ」を読んでからこの記事を書くまでに結構な期間(半年くらい)が空いています。
それでもお兄様たちのことは覚えていました。

お兄様も共感もマーティンも大好きだからね!
好きから覚えいていたともいえるのですが、そもそもこんなにも好きにさせる力がすごいな、と。
ハマった後のフォローが手厚い
本作は書籍化されているのに加えて、コミカライズもされています。
所有しておけば紙でいつでも読めて、しかも挿絵によって視覚でも楽しむことができます。
それはそれとして。
小説家になろうでは、IFの世界線として、本編終了後の世界で攻略対象たちがエリザベスに告白している短編集を読めます。
IFの後日談です。
パラレルであり、本編とは違う世界線です。
存在していることは知っていたのですが、最近まで読む勇気が出ず、手を付けていませんでした。

誰かと恋し恋されラブラブ(?)になっているエリザベスは想像できない……
今回、この記事を書くに当たり、初めて読みました。
結果、膝から崩れ落ちました。

公式からの……供給が……あつい!
本当に「告白」の場面が書かれた短編集です。
その後にこの人たちはどうなるんだろう、といったさらに続きの部分は書かれていません。
さっくりと告白だけが書かれているので、読む側としてもIFの世界線として割り切って読むことができました。
シンプルに「癖(へき)」
色々と考えてお話ししてはみましたが、どうして好きなのかといわれたらもうシンプルに「『癖(へき)』だから」が正解なのかもしれません。

チョロベルトことロベルト(婚約者)くんが好きなんですがね

大型犬のようにくっついて回っているのに、さりげなくエリザベスの苦手なところをフォローしたり、しかも本人に気づかせないようにしてて、おまけにエリザベスの知らないところでエリザベスには絶対に見せないような顔で彼女の敵を排除しようとしたり、「癖」に刺さるところがたくさんあって
おわりに
- 共感できるところが多々ある
- 気になるところにツッコミがある
- キャラクターに弱い面もある
- サブキャラも魅力的
- 番外編が厚い
- 「癖」に刺さる
自分がどうして「モブどれ」が好きなのか、まとめてみると「癖に刺さる」、これが一番のような気がします。
自創作を魅力的にしていくには、自分の「癖」を探すのが良いのかなあ、なんて。
ところでWeb連載版は完結を迎えたようです。
まだ読めてないのでドッキドキです。

ちなみに、同先生による他のお話も好きです

