Web小説・これ好き「嫉妬とか承認欲求とか、そういうの全部捨てて田舎にひきこもる所存」

Web小説版の「嫉妬とか承認欲求とか、そういうの全部捨てて田舎に引きこもる所存(作:エイ)」読みました?

ほんっと良い

すっっっごい好き
年上男と年下女の子の関係って、いやらしさを含ませずに書くのが難しいんですよ。
で、この物語、その塩梅がめちゃくちゃ良いんです。
書籍版とコミック版もあります。
コミック版は全2巻で簡潔にまとめられていますし、絵柄も可愛いので入りやすいかと。

今回は、嫉妬とか承認欲求とか、そういうの全部捨てて否かにひきこもる所存」のWeb版のお話をします。
「嫉妬とか承認欲求とか、そういうの全部捨てて田舎に引きこもる所存」のあらすじ
夫となるはずだった人は、結婚式当日に最も酷いやり方で私を裏切っていた。
***
なにもかも失い絶望した私は、成り行きで得体のしれない馬丁の男と一緒に町を出奔することにしたのだった。
家も、家族も、故郷もぜんぶ捨てて、縁もゆかりもない僻地の村で私は生きることを決めた。
もう嫉妬や憎しみの感情に振り回されたくない。私はこの村で、全て忘れて心穏やかに生きよう―――……と思っていたのに、なんで次々と現れるの?今更何の用があるの?お願いだからみんな帰ってください。
このお話のここが良い
- 年上男側が「男」じゃないことによる安心感
- 年上男側のおちゃらけと底のドライさ
- 自分に依存してしまった女の子への言及
- 変わる人たち・変わらない人たち
- 圧倒的な恐ろしさを持つ、背後の人
年上男側が「男」じゃないことによる安心感
このお話の良いところの一つは、主人公の女の子と、彼女が出会った年上男との間に、恋愛する気配がほとんどないことです。

冒頭は恋愛の気配がほぼないです。

そこからの……が、良いんですよ!
主人公の女の子、ディアは絶望の最中、たまたまあった馬丁の男・ジローと共に家を出ます。
ジローは、ディアの家で用心棒兼馬丁として雇われていた男です。
若い女性のいる家ではありますが、彼が過去に受けた傷が原因で「男」ではないことから許容され、雇われました。
ジローの雰囲気からも何となく、嘘ではないんだろうな、というものがあります。
ジローはチャラい、とは違いますが、軽薄な雰囲気のある男です。
ディアの美しさについて褒めるときも「お世辞じゃなくて本心なんだろうな」と思えるような態度ではありますが、それだけです。
それ以上の深い興味や下心は感じられません。
ここから、読んでいるこちらとしても、この年上男を何となく信頼できるように思われました。
年上男側のおちゃらけと底のドライさ
ジローさんは、そんなに真面目な人ではないです。
軟派というのとは違いますし、クズというのでもないのですが、軽薄と言いますか、何とも言いがたいヒモ感が漂っています。
でもディアの心を慮ってくれてますし、ディアを一人の人間として扱ってくれます。
傷を受けた人に無闇やたらと触ることなく、ただそばにいる。
そんな優しさを持っています。
ジローの優しさに偽りはありません。
ですが、ジローは優しいだけの人でもありません。
絶望のまま出奔したディアのことも、ドライな目で見ていました。
このドライさが二人の関係性の間に良い味を出しています。
自分に依存してしまった女の子への言及
ディアがジローと出会ったのは心身共にボロボロだったときです。
そんなときに年上の男性に引っ張ってもらって、絶望からすくいあげてもらいました。
そんな状況で助けられたら、相手がどんな奴だろうと、純真なお嬢さんはそいつのことを盲目に信じてしまうのだろう。
年上男、ジローとしてはそんな気持ちです。
ディアがどんなに否定しても、聞くことはできません。
その子の視野が狭くなっているのが見えますから。
状況だけを見て、自分の心を見ようとしてくれない相手に、ディアとしてはヤキモキしてしまうのは分かります。
ですが、ジローのほうはそのまま受け入れることはできないからと、ディアを突き放しました。
ジローがディアを想っていることは、この場面まででよく伝わってきました。
ディアの想いをそのまま受け入れる道だってあったはずです。
それを敢えて拒んで遠ざけて、距離と時間を置いています。
このときのジローの判断が好きです。

Web小説版で、二人が離れているときのディアの成長や変化もまた良いんですよ!
変わる人たち・変わらない人たち
このお話は、元婚約者と義妹の浮気から始まります。
主人公の家族が主人公のことを虐げていて、というタイプ。
このタイプの物語は、今まで主人公を虐げてきた人たちがどのような結末を迎えるのかが注目ポイントの一つとなります気になってきます。
このお話では、物語の中での出会いや出来事を経て変わっていく人と、変わらないままの人たちで分かれました。
全員まるごと同じ結末を迎える、ということではありません。

変わる人、変わらない人のバランスがまた良い
圧倒的な恐ろしさを持つ、背後の人
ラスボス、黒幕といった表現で合っているのか分からないのですが、物語の佳境で、ディアが対峙しなければならない人がいました。
物語のキャラクター要素としての「敵」ですね。
物語においてはこの「敵」の強さが、物語の魅力を引き立てる要素の一つだと考えています。
このお話では、その「敵」が強いです。
戦闘力が強いとか、物理的な強さではないです。
物語を経て成長した主人公でも簡単に圧倒することができない強さを持っています。

この人と対峙するのは危険かも……

って思わせられる「敵」なのがすごく良い!
おわりに
コミック版はすっきりまとまっているし、絵柄が素敵だし、ジローさんは可愛くてディアさんも愛おしいので好きです。
そこでは描かれていなかった場面がWeb小説版で読むことができます。
コミック版を読んで「展開があっさりしてる?」と感じた人は、Web小説版をおすすめします。
こちらでは一つ一つの展開が濃く描かれていますので。

それで最後まで読んで、私と一緒に「ぎゃああ!」ってもだえて欲しいなって!
紹介って難しい!
いっぱい良いところも好きなところもあるのに上手く話せない
!
とにもかくにも、言いたいのはこれ。

ジローさんとディアさんが好き!

Web版で読める、二人が離れたところと、その先が好き!!
ちなみに、コミック版はコミック版で、好きなところをお話ししています。
