榛名丼先生による追放聖女の勢いが好き

「聖女」や「追放」といったタグがつけられるWeb小説が最近よく見られます。

大好きです!
Webでも読んだけど紙書籍も買っちゃったっていう作品もいくつかあります。
今回はその中の一つ、「追放された聖女ですが、実は国中から愛されすぎてて怖いんですけど!?(作・榛名丼)」のお話をしていきます。
漫画版も出ましたね!
あらすじ
「──いやあああああああああああああっ!」
第一王子との婚約も聖女の地位も義妹にかっさらわれ、追放されてしまったイヴリン。
仕方なく身分を隠し、路地裏で治癒魔法を使ってその日暮らししていたら、助けた年下イケメン貴族からいきなり求婚される。
そして聖女不在となった王都では他の王子や神官たちが大騒ぎ!
実はイヴリンこそ、国中から異常に愛されまくっている、王様より尊い存在だったのだ!
次々と現れる奇人変人たちのせいでなかなか噛み合わない
嫁き遅れ聖女とピュア伯爵のドタバタラブコメディ!!
本当にドタバタ。
最初から最後まで勢いよく駆け抜けています。
びっくりするくらい紹介に偽りがない。すごいです。
Web連載版は小説家になろうでも読めます。
Web版を読んでから書籍版を買って読んだのですが、書籍版はWeb版より、序盤からの勢いがかなり増してます。

ここってもっとシリアスな感じじゃなかったっけ?
と思いながら読んでいましたら、あらすじにて、書籍版ではコメディ感をより増やしたというようなことが書かれていました。

なるほどね!!
メインもサブも登場人物の勢いがすごい
とにかく勢いがすごい本作。
登場人物たちの勢いがすごい。
始まりはよくある追放場面。
聖女・イヴリンが追放されます。
始まり自体は何百回と見たことがある(ような気がする)定番のものですが、追放を言い渡されたところからとても元気。
聖女・イヴリンは絶望のあまり「いやあああああああああああああっ!」と叫んで、追放を言い渡した王子の話は遮ってしまうし、その後もほとんど話は耳に入らない。
入らない、というか、敢えて耳に入れられていないというか。
この辺りですでに、王子のこの後の運命が決定づけられている感じがあってとても好きです。
主人公であるイヴリンやイヴリンに追放を言い渡した王子なども、勢いがあることは序盤から見て取れるのですが、なにより推したいのはイヴリンを取り巻く周囲の人たちです。
イヴリンの熱いファンたちを推したい
イヴリンは聖女として長年働きつくしてきたため、外の世界をほとんど知りません。
また、国民も「聖女・イヴリン」を敬い、親しんでいるものの、本人の姿を知りません。
イヴリンは外の世界を知らないために、自分の思っていたよりも自分が国民に慕われていることも知りませんでした。

本当に……まさかあんなに慕われているとは…………
慕われ方が激しすぎました。好き。
あまりに激しすぎて、「主人公が周囲に疎まれてつらい」みたいなことが起きないです。
また溺愛ものとも違うんですよ。
何と言いますか、こう……激しい推し活をこっそりやっているファンに似ていると言いますか。
私はこのファンの中でも、神官長が好きです。
聖女・イヴリンをとても大切にしてくれていた神官たち
イヴリンの追放宣言は、神官たちが不在のときに行われました。
物語開幕時は、神官たちが聖女・イヴリンをどのように捉えていたのかわかりません。
しかし読み進めていくとすぐに、神官たちはイヴリンのことを大変、それはもう大変可愛がっていたことがわかります。
この可愛がりようがすごくてですね。
彼らは、勝手にイヴリンを追放した王子にどえらい怒りを見せます。
特にすごかったのが神官長。
お年を召した方なのに、年齢を感じさせないほどのアグレッシブさで王子に詰め寄ります。

私はこの神官長をWebで読んだときに、書籍の購入を決めました
挿絵で見たかったあのシーンを収録
書籍の紹介文に「嫁き遅れ聖女とピュア伯爵のドタバタラブコメディ」とありますように、この作品は聖女・イヴリンと伯爵・セオドアのピュアピュアな恋愛模様も描かれています。
それはそれとして、私は神官長たちの暴れっぷりを絵で見たい欲望がありました。
私が書籍で見たかったのは怒れる神官長です。
期待で胸を膨らませながら書籍を開きましたところ、ちゃんとありました!
怒り心頭の神官長の後ろ姿が!

くろでこ先生の絵で見られるのがありがたすぎる
シリアスを引き受けてしまった少年
メインもサブもとにかく元気で強いキャラクターが多い本作。
シリアスを担当するキャラクターたちもいます。
そのうちの一人が追放されたイヴリンと出会い、世間知らずな彼女の世話をすることになった少年・キラです。
呆れつつも様子のおかしい人たちから適切な距離を取りながら、冷静に彼らと付き合っています。
苦労人代表は第三王子のオズ。
独断で聖女を追放したのは、第一王子です。
オズはその弟に当たります。
第一王子の暴走によって聖女はいなくなり、国は荒れ始め、オズの胃も荒れ、健康を思いっきり害してしまいます。
かわいそう……。
あまりにも破天荒な人たちが多すぎるせいか、本作のシリアス成分をほとんど彼が一人で担っていたような気さえします。
かわいそう……好き……。
おわりに
よくある聖女の追放から始まるドタバタコメディだということはお話しできたとは思うのですが、私はこの作品の良さを伝えることができたのだろうかと甚だ疑問です。

登場人物、大体勢いがすごいってことしか言ってない気がする
今回は思いっきりコメディに振られた作品だったのですが、作者である榛名丼先生はどっしりとした重めの物語も書かれます。
同先生による、
- 幽霊になった侯爵夫人の最後の七日間
- 悪役令嬢と悪役令息が、出逢って恋に落ちたなら 名無しの精霊と契約して追い出された令嬢は、今日も令息と競い合っているようです
- 婚約破棄された替え玉令嬢、初恋の年上王子に溺愛される
も好きです。

「婚約破棄された替え玉令嬢、初恋の年上王子に溺愛される」は本当に最高なので、こちらもぜひ!