タイトルをつけるのが苦手です。
ブログのタイトルをつけるのも苦手ですが、小説のタイトルをつけるのはもっと苦手です。
本編は書き上がっているのにタイトルだけつけられていない、なんてことばっかり!
苦手なことには変わりないのですが、苦手なりにもタイトルをつけるまでの時間が最近やっと短くなってきました。
タイトルの良し悪しはともかくとして、それなりのタイトルをすっとつけられるようにはなりました
小説のタイトルと一口に言っても、短いタイトルでパッと内容を示すようなものもあれば、長めのタイトルで内容を紹介するようなものもあります。
小説投稿サイトなど、Webで見る最近の小説は後者の方が多くなっているようです。
今回は後者の、長めのタイトルのつけ方についてお話ししていきます。
タイトルは一番に興味を惹くところ
タイトルは、読み手が初めに興味を覚えるところです。
書店で見かける本だと、表紙のデザインに強く興味を惹かれて手に取ることが多いかと。
しかし小説投稿サイトなど、Webで見る小説の多くは、表紙の印象が薄くなります。
小説投稿サイトによっては表紙画像を設定できないことも
Web小説ではまず、タイトルとあらすじだけで閲覧者の心を捉えなければなりません。
閲覧者が興味を持つのはどのようなタイトルなのでしょう。
考えてみましたところ、小説の内容を読み取りやすいタイトルなのかな、という結論に至りました。
わかりやすい文章でわかりやすく内容を説明するタイトル
タイトルが小説の内容を想像できるものであることはとても大切です。
ですが、だらだらと文字を連ねているだけでは読んでもらえません。
本編を読んでもらえないどころかタイトルすら読んでもらえないのです。
無闇に長く連ねられたタイトルでは、視界に入っただけで流されてしまいます。
私の感覚ではありますが、タイトルをパッと見たときに「読みにくい」と感じたときは、最初の5文字くらいしか読まないことが多いような気がします。
このため、タイトルは読みやすい文章で書かれていることが肝要です。
理想は13文字ほど、長くても32字程度まで
タイトルはできたら13文字ちょいくらいでまとめます。
こちらはプレゼンテーション資料作成のときに使われるという、13文字の法則をもとに考えています。
この法則は、人が一度で認識できる文字数は多くても13文字程度であることからきているそうです。
人間が一度に知覚できる文字数は、少ない人で9文字、多い人で13文字だと言われています。日本最大のニュースサイト「Yahoo!」のニューストピックの見出しも13文字が上限になっているのも、おそらく、これと同じ理由だと思います。
ORIOCON NEWS(わかりやすいプレゼン資料をつくる「13+40の法則」)
こちらを踏まえて、Web小説発の有名タイトルを見てみます。
- 転生したらスライムだった件/作・伏瀬(13文字)
- 盾の勇者の成り上がり/作・アネコユサギ(10文字)
たしかに13文字程度で収められています。
同じように書籍化した作品の中には、13文字以上のタイトルもありました。
- 転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます/作・謙虚なサークル
- (25文字)
- 悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします/作・天壱(28文字)
- モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う/作・岡崎マサムネ(23文字)
こういったケースでは「~(主人公)は」や「~ので」といった区切りが13文字程度で収められています。
- 「転生したら第七王子だったので」までで15文字
- 「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は」までで18文字
- 「モブ同然の悪役令嬢は男装」までで14文字
全体は32文字以内です。
アニメ化したタイトルを中心として例に挙げたのは、「アニメ化までした作品は、どこかで耳にしたことがある人の多いタイトルだろう」と考えてのことです。そんな中で一つだけ、よく知らないタイトルが混じっていたかと思われます。
「モブ同然の悪役は男装して攻略対象の座を狙う(作・岡崎マサムネ)」は私の趣味で入れました。書籍化・コミック化はしていますが、まだアニメ化はしていません。アニメ化情報お待ちしております。
こちらの作品につきましては別記事で熱く語っていますので、そちらをご参照ください。
いまお話した作品は32文字よりも少ないのですが、私は目安を32文字程度としています。
この文字数は小説ではなく、ブログ記事の書き方から得た目安です。
参考記事はブログに関する話なのでSEO(ブログやWebサイト関連の用語)のことが語られていますが、文字数の指針のひとつとするのであれば小説にも使えます。
「長っ!」と思ってしまって最後まで読めないタイトルは、数えてみたら32文字を大幅に越えていた、という経験もありました。
単語を羅列するだけの長々しいタイトルは読みづらい
読みづらいタイトルの例を挙げてみます。
カクヨムで人気タグを調べて、タグを組み合わせた架空のタイトルを作ってみました。
「義妹と彼氏が婚約しましたが世界がディストピア化したので人外になった同級生とスローライフ送りながらざまぁします」
54文字です。
どこで読むのを諦めましたか?
この架空タイトルを作ったのは私ですが、私は「義妹と彼氏が婚約しましたが世」くらいが限界です。
ちなみに、ここまでで14文字。
このタイトルも最後まで読んだらちょっと面白そうな気がしますが、そもそも最後まで読む気になれません。
理想は13文字くらい。
- 32文字ちょいまでならOK
- 32文字を大幅に超えてしまうときは文字数を減らす
このくらいの考え方で良いかな、と。
次は、32文字程度のタイトルに何を書くのかを考えていきます。
小説の推しポイントをタイトルに入れ込む
先ほど人気タグを組み合わせて架空タイトルを作りましたが、単語をいくつか組み合わせるだけで文字数は埋まってしまいます。
限られた文字数でその作品の内容を表すにはその作品のことをより深く理解する必要があります。
作者ですから、自作のことはよくわかっているかと思われます。
ここでは敢えて、その作品の良さを文章として書き起こすことで作品の推しポイントを改めて知るステップを踏みます。
ここから実践編に入っていきますよー!
推しポイントとは、人に勧めたい要素のこと
推しポイントとは、ここでは、その作品の推したい要素のことを指します。
「ここを推したい」と作者自身が強く考えているものがその作品の良さであり、タイトルづけにも繋がっていきます。
私は普段ココナラで、小説の感想をお話しするサービスを行っています。
小説を読み、率直な感想を書きます 自作小説の忌憚のない言葉を求めているときに(ココナラ)
同サービスにて、感想をお話しするのに加えて、タイトルのつけ方のご相談をいただくこともあります。
このとき、ご依頼者様に
- その作品で伝えたいこと
- その作品を書くときに特にこだわったこと
……といったことを伺います。
その作品のタイトルを考えていくに当たり、ご依頼者様と私との間の認識に食い違いがないように言語ですり合わせをしていく目的で伺っています。
自分で作品のタイトルを考えるときにもこのやり方は有効だなと最近気づきまして。
自作にタイトルをつけるときは改めて、その作品の中で伝えたいことや、その作品を書くときに特にこだわったことを考えてみます。
考えたら今度は、文字に書き起こしてみます。
もし「伝えたいこと」が思い当たらなかったら、
- その作品を通して言いたいこと
- その作品のテーマ
など、作品の中で一貫させたメッセージを書いてみます。
それでもこちらもどうしても浮かばなかったら、その作品の中で「どうしてもこれだけは譲れない」ところを書く、といったことを試してみます。
このように項目を埋めていくと、自作の推しポイントが見えてくるはずです。
これらがその作品の良さであり、その作品が持つ個性です。
作品の推しポイントを整理したら、長めのタイトルを組み立てる段階に入りましょう。
長すぎて読みにくいタイトルの例として作った架空の物語のタイトル「義妹と彼氏が婚約しましたが世界がディストピア化したので人外になった同級生とスローライフ送りながらざまぁします」、改めて見ても長いです。
こちらを32文字以内に収められないかと考えてみたものの、どうにも難しかったので諦めました。面目次第もございません……。
と言いますのも、単語を組み合わせただけのものであるために、これが何を推したい物語なのかがわからなかったのです。
この物語、ディストピア化した世界や人外化した同級生とのスローライフが売りなのか、それとも自分を裏切った義妹と彼氏にざまぁ(復讐)するのが売りなのか、さっぱりわかりません。
逆に言えば、この内のどこが特に推したいところなのかがわかればタイトルに残すべき単語と省略すべき単語がわかってきます。
良くない例を挙げたなら良い例も挙げるのが道理だとわかっているものの、まだまだ私の力が不足していました。精進いたします。
タイトルで内容全部を書かなくて良い
長めのタイトルは一目で内容の大半を把握するためにつけられている、と私は考えています。
大体の作品のタイトルが、物語のざっくりとした内容が書かれています。
あらすじに近いです。
だからといって、内容の全部をタイトルで伝える必要はありません。
と、言いますか、内容全部をタイトルに入れようと思っても大抵、32文字には収まりません。
収まらないので、これは「タイトルを見た人が『どういうことだろう?』と考える余白を意図的に作ったのですよ」という顔で、タイトルの文字数を削っていきます。
タイトルを分解して考えてみる
長めのタイトルは内容を把握できるように作られている、と度々お話してきました。
長めのタイトルの傾向を見てみると、文章になっているものが多いです。
- 誰が
- どのようにして
- どうなった
作品によっては「なにをした」と、結果まで書かれているものもあります。
文章としてはこれらの事柄が全て書かれているのが望ましいです。
しかしタイトルに書くのは13文字(最大32文字前後)が理想。
全てを書き切ることはできません。
また、全てを書いてしまったら読者の想像を掻き立てるような余白を作ることもできません。
敢えて「書かない」ことを意識する
文章の構造としては、主語(誰が)と述語(~した)が揃っているものが読みやすいです。
ここにさらに「何を」「どのようにして」といったことを付け加えていくと、文章としての厚さが増していきます。
ですがタイトルとして考えるときは必ずしもこれらを全て守る必要はありません。
- 誰が
- なにをして
- どのようにして
- どうなった
- なにをした
これらの3項目ほどが読み取れるようになっていたら十分です。
例えば、「転生したらスライムだった件」はスライムになったことはわかりますが、スライムになって何をしたか(結果)まではわかりません。
「盾の勇者の成り上がり」では、誰が(盾の勇者が)何をしたのか(成り上がり)は書かれているものの、どうやってなし得たのかは書かれていません。
このように、文章の中で重要なところさえしっかり書いておけば文章は読めますし、「ここはどうなのだろう?」と想像させる余白を生むことができます。
なお、文法の誤りがあると意味を読み取りにくくなるので、この点は注意しながら文章を組み立てます。
初見で「読みにくい」と判断した人は、そのタイトルの全てを読んでわざわざ意味を噛み砕く努力はしてくれません。
タイトルすら最後まで読まずに飛ばしてしまうのがオチでしょう。
文章に強い人であれば、意図的に誤った文法でタイトルをつけるのもアリです。
それでも慣れないうちは、読み取りやすい文章でタイトルをつけるのが無難かと思われます。
ちなみに、「誰が」は省略しても問題ないことが多いです。
タイトルに書かれている「誰が」は多くの場合主人公を指します。
日本語は主語が省略されていても読むことができますし、その作品の主人公に特徴がある場合を除き、省略してもどうにかなります。
省略する要素、書く要素は推しポイントを意識して決める
さて、省略するにしてもどこを省略するかが重要です。
省略しても作品の良さを伝えられそうなところを省略するのが理想と言えます。
何を残して作品の良さを伝えるのかと言いますと、先述しました「推しポイント」のメモを見ながら考えていきます。
作品の推しポイントを残しつつ、意味の読み取りやすい文章で、最大32文字程度で書きます。
「全部が推しポイントだから32文字以内に収まらない!」というときも気合いで32文字ちょいくらいに収めます。
まず、書き上げた推しポイントに優先順位をつけます。
その中で最も重要な要素を入れ込んで、文章の区切りが13文字ほどになるように意識しつつ、どうにか32文字程度にまとめます。
32文字きっちりじゃなくても良いです。
33文字でも34文字でも、2文字程度なら誤差の範囲です。
35文字とか36文字だとちょっと多い気もしますが、何とかなるでしょう。
ですが40文字を超えるときは多過ぎるので、どうにか文章をこねくり回して数文字削ります。
書き切れない推しポイントはキャッチコピーやあらすじで書く
どうにかこうにか32文字以内に収めたとしても、その作品の良さをもっと存分に表現して周知していきたいところです。
はじめに用意した推しポイントもタイトルには入れ込み切れていないことと思われます。
こういったときは、あらすじやキャッチコピーに推しポイントを書きます。
キャッチコピーはカクヨムには記述項目がありますが、専用の項目が設けられていない投稿サイトもあります。
そういうときはあらすじで、書いていきます。
あらすじは、ストーリー(の内容)をざっくりと書いたものです。
ですが要約とは少し違います。
あらすじは機械的に内容をまとめたものではなく、読者の想像や期待感を高めるために書くものです。
推しポイントを自分の手でまとめた後だと、ここのあらすじもかなり書きやすくなっているかと思われます。
どうしても自分でタイトルをつけられないときは人に頼る
長めタイトルはつけられたでしょうか。
「考えてみたものの、13文字も越えない。なんかすっごく短い」というときは、そのままのタイトルでいきましょう。
無理にめちゃくちゃ長くする必要はありません。
短くまとめて作品の良さを表せるのなら、タイトルとしての役割は問題なく果たせています。
ただ、「どうがんばっても40文字を越えてしまう」というときは対策が必要です。
もしかしたら、作品の推しポイントの優先順位づけが上手くいっていないのかもしれません。
そういうときは、客観的な視点を取り入れてみます。
身近な人でも、ココナラやスキマで感想サービスを行っている人でも良いので、とにかく作品を読んでもらって、自作の良いところを再発見します。
第三者の目を通して作品の良いところを知ると、タイトルをつける新たな発想となることもあります。
スキルマーケット【ココナラ】おわりに
ここまでお話ししてきた中で特に言いたいのは、読者はとってもドライってことです。
小説投稿サイトを巡って、読む物語を探している人は大抵忙しいです。
忙しいというか、ちょっと視界に入っただけの、内容もわからない、そもそもタイトルが何言ってるのかわからないような作品をわざわざタップしてくれるほど暇ではありません。
一目で噛み砕けない文章のタイトルに触れるくらいなら、その次に表示された、タイトルの意味がわかりやすい作品に触れます。
このため、
- 長過ぎない
- 複雑すぎない
といった文章で、簡潔に内容を伝える必要があります。
小説投稿サイトに投稿される小説は日に日に増えていくことでしょう。
その分、自作が閲覧してもらうための競争は激しくなっていくだろうことは想像に難くないです。
確実に触れてもらうための方法は、正直私にもわかりません。
わかっていたら私はたぶん、今頃超人気の書籍化作家となっていますから。
ですが、触れてもらう可能性が低い要素を潰していけば、多少なりとも人の目に触れる機会は増えていきます。
地道な努力ではありますが、一人でも多く人の目に触れられるようなタイトルをつけるために、本記事がお役に立てましたら幸いです。
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